水コラム

トイレ

呼び名のバリエーションが豊富なトイレ!あなたはトイレをどう呼んでいますか?


現代ではトイレという名称で根付いていますが、時代により、トイレの呼び名は変化しています。
 
また、トイレは国や場所によっても、呼び名が異なることはご存じでしょうか?
職場での呼び名が癖になっていて、日常生活で出てしまうという方もいらっしゃるかもしれません。
 
今回は、トイレの呼び名についてご紹介します。
 

日本でのトイレの呼び名


現代の日本ではトイレと呼ばれることが多いトイレですが、古来のトイレは厠と呼ばれることや、御不浄と呼ばれることもありました。
厠や御不浄という呼び名は現代でも残っており、古来の呼び名で呼ぶ方もいらっしゃいます。
 

トイレ

現代の日本で最もポピュラーな呼び名が「トイレ」ではないでしょうか。
ご自宅にあるトイレも、ご自宅の外にあるトイレも、トイレと呼ばれています。
 
トイレの名前の由来は、フランス語の「toilette」から来ています。
フランス語で「toile」は布を意味しており、接続詞の「ette」が付くことで、小さな布という意味合いだったようです。
もともとtoiletteは化粧台の上にかけられていた布のことで、化粧台掛のことをあらわしていました。
 
しかし、toiletteが英語圏に入ったことで、言葉の使われ方に変化が生じます。
英語圏では、化粧室としても使うようになったのです。
 
英語圏では入浴設備と化粧室が一緒になった部屋のことを、「toilet room」と呼んでおり、略称が「toilet」となったのではないかと考えられています。
 
その後、英語圏ではtoilet roomは排泄するための場所を指す言葉として残り、日本にトイレという言葉が入ってきたときには、大便器や小便器を指すものとして入ってきたようです。
 
水洗できるタイプのトイレは、水洗トイレと呼ばれることがあります。
 

お手洗い

女性はトイレを「お手洗い」と呼ぶことが多いのではないでしょうか。
お手洗いは、トイレを丁寧な表現にしたもので、公共の場やフォーマルな場で呼ばれることも多い呼び名です。
 
お手洗いの由来は、言葉の通り、手を洗うところからきています。
古くから、日本ではトイレの後に手を洗い清める習慣があり、この習慣からきているものと考えられています。
 
また、神社へ参拝する際に手を洗い清めることを御手洗と呼び、御手洗がお手洗いと呼ぶことから、お手洗いと呼ぶようになったという説もあるようです。
 
このお手洗いという表現は、「妹背貝」という、明治時代に巌谷小波が執筆した小説で出てきた表現であり、それ以降に、お手洗いという呼び名が広がりました。
 

便所

「公衆便所」という単語を聞いたことがある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
トイレという名称が根付く前は、便所がトイレをあらわすメジャーな言葉だったため、現代でも便所と呼ばれることがあります。
 
特に、公園や駅前にあるトイレは、公衆便所と呼ばれることが、現代でもあります。
また、書面でも便所という言葉が使われることがあるでしょう。
 
便所の由来は読んで字の如く、排泄するための場所というところからきているものです。
 
旅先での観光マップや、自治体配布の地図では、公衆トイレのことを公衆便所と表記しているものもあります。
 

化粧室

百貨店などの公共施設では、女性用のトイレは「化粧室」と表記されている場合があります。
トイレの場所をスタッフの方に尋ねると、「お化粧室はあちらです」と案内されたことがある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
 
英語圏では、化粧台が置いてある化粧室のことをトイレと呼んでいる時代があったため、化粧台を置いている女性用トイレのことは、化粧室と呼ばれているのかもしれません。
 
化粧室と呼ばれているトイレの多くは、化粧するための化粧台が設けられています。
 

厠(かわや)

「厠」の語源は、「川屋(河屋)」という、川に橋のような板を立てかけて、その上で排泄していたことからきたものです。
 
厠は古事記にも記載がある表記のため、712年(和銅5年)より以前からあった言葉だと考えられます。
 
厠は現代のトイレとは異なり、すべての家庭にあったわけではありません。
ごく一部の上流家庭にのみあり、一般庶民の家庭になかったため、厠がない庶民は、道端などで排泄していました。
 

WC

「WC」は「Water Closet」の略称で、トイレのことを指します。
公共施設の中では、WCという表記でトイレを記載していることがあるでしょう。
 
WCは水洗トイレができたころに生まれた言葉だと言われています。
水洗トイレが主流の現代では、水洗トイレ以外を見たことがない方もいらっしゃるかもしれませんが、一昔前は水洗ではない、ぼっとん便所と呼ばれることもある、汲み取り式のトイレが多く普及していたのです。
 

御不浄(ごふじょう)

「御不浄」は寺院などで使われることがあった言葉です。
これは、排便などの排泄物が、不浄なものと呼ばれていたことからきています。
 
御不浄は不浄を丁寧に言いあらわした言葉で、女性が使うことが多かったと言われています。
 

閑所(かんじょ)

「閑所」は、静かな場所や暇な場所をあらわす言葉です。
 
トイレの個室内は自分以外がいない静かな場所で、排泄する以外に用途がなく暇であったため、静かという意味をもつ「閑」からきているそうです。
 

憚り(はばかり)

トイレは人目を憚ってするものというところから、「憚り」という言葉ができました。
これには時代の特性も含まれており、排泄することは恥ずかしいことだと考えられていた時代もあるのです。
 
現代でも、人前でトイレに行くということが憚られる人は多く、お手洗いなどの呼び名が使われているのではないでしょうか。
 

山(やま)

なぜトイレが「山」と呼ばれるのか、不思議ですよね。
 
トイレを山と呼んでいたのは、かの有名な武将である、武田信玄です。
武田信玄は、戦の戦術や戦略を考える際、トイレに籠って考えていたことが多いそうです。
 
武田信玄が使っていたトイレは水洗トイレで、床には畳が敷かれ、臭い対策にお香がたかれ、書物を読むための机も設置されていたと言われています。
 
なぜトイレのことを山と呼ぶのか、武田信玄の当時の家臣も気になったようで、尋ねてみたところ、「山には草木が絶えぬから」と答えたそうです。
この答えは、トイレには悪臭という臭きが絶えない部分と、山には草木が絶えないという部分をかけ合わせた言葉だと考えられています。
 

雪隠(せっちん)

ことわざで度々見かけることがある「雪隠」ですが、トイレという意味でも使われているのです。
 
雪隠の語源は中国からきたものだといわれており、霊隠寺(れいいんじ)にいた「雪とう」という和尚が、トイレ掃除を熱心に行っていたことから、和尚の名前の「雪」と、寺院の名前から「隠」という言葉を取り、雪隠と呼ばれるようになったそうです。
 
ただし、雪隠の由来は諸説があり、「西浄(せいちん)」が変化したものだとも考えられています。
西浄は、禅宗で高僧が就く職位である西序(せいじょ)からきており、西序が使う場所という説もあるようです。
 

諸外国でのトイレの呼び名


日本では時代ごとの呼び名の変化があり、今ではトイレという名称で定着しているトイレですが、諸外国ではどのような呼び名があるのでしょうか。
 
諸外国では、トイレの呼び名が共通していない場合や、アメリカ英語とイギリス英語のように、言語が分かれていることで、言葉の意味合いが変わることがあります。
アメリカ英語とイギリス英語は、日本では英語と一括りにされていますが、諸外国ではそれぞれで違う言語となるため注意が必要です。
 
また、スラングでトイレを呼ぶこともあるため、初めて聞く単語がトイレのことをあらわしているという場合もあります。
 
ここでは、諸外国でのトイレの呼び名の一例をご紹介します。
 

中国

中国は漢字で書きあらわす言語が主体の国ですが、トイレに関しては「WC」という表現が用いられていることが多くあります。
また、「厠所」という言葉も併用されており、場所や人によっては「洗手間」、「化粧間」、「衛生間」、「一号」という言葉も使われます。
 
中国は日本と近い場所に位置する国のため、トイレ事情も日本と同じと考えている方がいらっしゃいますが、トイレ事情は日本と異なります。
 
中国のトイレにはトイレットペーパーが置かれていない場合がほとんどのため、多めのティッシュペーパーをもって行く必要があります。
しかし、都市部ではトイレの水洗化が進んでいますが、日本のトイレのように水洗はできません。
たとえ水で溶ける働きのあるトイレットペーパーをもちこんだ場合でも、水洗はできないので、備え付けのごみ箱に捨てるようにしましょう。
 

アメリカ

アメリカではトイレの設置場所によって、トイレの呼び名が異なります。
 
映画館や公共施設などにある、不特定多数の人間が使えるトイレのことは「rest room」と呼び、ご自宅にあるトイレは、設置方法ごとの呼び名があります。
 
お風呂とトイレと洗面台が一緒になったトイレのことは「bath room」と呼びますが、同じ形式のものでも、利用者が女性主体の場合は「powder room」という呼び名に変わります。
 
トイレと洗面台が別々になったトイレのことを、「lavatory」という呼び名もありますが、アメリカでは飛行機のトイレを指す場合が多いようです。
 
また、アメリカの一部地域ではカナダのように、公共施設にあるトイレのことを「wash room」と呼ぶことがあります。
 

イギリス

アメリカでは飛行機のトイレという意味をもつ「lavatory」ですが、イギリスではトイレ全般のことを指します。
アメリカ英語とイギリス英語は異なるため、それにより同じ単語でも意味が違っているのかもしれません。
 
lavatoryは少し硬い表現となるようで、一般的には「lavvy」と呼ばれることが多いようです。
 
イギリス英語では「rest room」は休憩室を指すため、rest roomがありますか、と尋ねると、トイレのない休憩室を案内されるでしょう。
 
また、イギリス女性はトイレのことを「loo」と呼ぶ方も多いようです。
 

フランス

フランスでのトイレの呼び名は「toilette」です。
日本人がそのまま読むとトイレと読みがちですが、フランス語では「トワレ」と読みます。
 
また、中国と同様に、WCという表現も使われていることが多く、看板などでWCと見かけた場合はトイレのことをあらわしています。
 

トイレの隠語


接客業の経験がある方は、トイレを隠語で呼んでいた経験がある方も多いのではないでしょうか。
百貨店や飲食店などでは、従業員がトイレで離席する際、隠語で伝える場合が多いと思います。
 
筆者も学生時代のアルバイトが接客業でしたが、そこではトイレに行くことは「4番に行ってきます」といい、業務用無線機で同僚に伝えるというルールがありました。
 
お客様に不快感を与えないための隠語ですが、顧客単価が高く、品位を求められる百貨店では、少し独特な隠語が使われています。
 
【トイレ隠語の例】

  • 三越:遠方
  • 松坂屋:新閣もしくは中村
  • 髙島屋:仁久
  • そごう:さんさん
  • 大丸:さんさん
  • 松屋:二の字
  •  
    隠語はトイレ以外にもあり、接客業では食事休憩や小休憩でも隠語が使われています。
     
    こちらは隠語ではありませんが、百貨店は業界用語で「館」とも呼ばれることがあるため、館という単語を耳にすることがあれば、それは百貨店のことを指しています。
     
    参考:百貨店で使われる秘密のことば┃国立国語研究所
     

    まとめ

    トイレという名称が根付く前のトイレの名称は、その由来も含めて見ていくと面白いですね。
    諸外国での呼び名の違いや隠語など、トイレの呼び名の違いは調べると奥深いものがあります。
    特に諸外国はトイレの呼び名だけではなくトイレ事情も日本とは異なるため、海外旅行に行く前は、トイレ事情について調べておいた方が良いでしょう。
     
    本日はトイレの呼び名という豆知識についてご紹介しましたが、やまなし水道職人は、トイレのつまりや水漏れなど、水まわり全般のメンテナンスサービスをしている会社です。
     
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